送り駒は、搬送装置や精密機械の駆動部に組み込まれ、ワークやスライドを正確に位置決めするための重要部品です。繰返し荷重や微小な摺動を受け続けるため、母材には高い耐摩耗性と靭性が求められます。今回採用したYXR7は、日立金属(プロテリアル)が開発したマトリックスハイス系の高速度工具鋼で、優れた耐摩耗性と高靭性を併せ持つ素材です。熱処理によりHRC62まで硬度を高められ、寿命の延伸に大きく貢献します。
有限会社 小澤製作所では、千葉県印西市の自社工場で1971年の創業以来、SUS440CやSCM440QTなどの高硬度材を扱ってきました。今回はφ50×20Lの送り駒を、外径仕上げ・内径荒引き・熱処理・内径切削仕上げまで一貫対応した事例をご紹介します。当社で対応している11種類の素材については切削加工サービスのページもあわせてご覧ください。
YXR7は高靭性ハイスの中でも特に耐摩耗性に優れる反面、切削抵抗が大きく工具摩耗が早いという特徴があります。さらに、熱処理によるひずみが寸法精度に直結するため、熱処理前の寸法残しと、熱処理後の仕上げ取りしろを精密に設計する必要があります。今回は内径公差を+0.02mm以内に収める要求があり、熱処理後の切削仕上げで最終寸法を狙う工程設計を採用しました。
事前の外径仕上げと内径荒引きでひずみを誘発しにくい肉厚配分を作り、熱処理時のひずみ方向を予測したうえで仕上げ取りしろを設定しています。高速度工具鋼の難加工特性に対応するには、工具材種・切削条件・冷却方法の三点を加工ロットごとに最適化することが欠かせません。
今回の加工で主に使用したのは、オークマ製NC旋盤「LH55-N」です。最大加工径φ550、最大加工長3000mm、10インチチャックを備えた高剛性機で、小径ワークから中型ワークまで安定した精度で旋削できます。φ50×20Lの送り駒のような小物部品では、振れを抑える掴み代設計と、熱処理前後で同じ把握点を使う工夫により、内径同芯度のばらつきを最小化しています。
主要設備の一覧と仕様詳細は設備情報ページでご紹介しています。NC旋盤群に加え、キタムラ機械「BRIDGE CENTER 12G」やキングストン「HR4000」など、大物から長尺まで幅広い加工ニーズに応えられる機種を取り揃えています。
熱処理は協力会社網と緊密に連携し、HRC62±1の硬度範囲で受け入れています。受入れ時には硬度計でロット内ばらつきを確認し、必要に応じて再熱処理の判断を行います。熱処理後の内径切削仕上げにはCBN工具やセラミック工具を用い、HRC60超の高硬度材でも面粗さ1.6S以下、内径公差+0.02mm以内の安定加工を実現しています。
当社では金型用途や精密機械向けの高硬度加工を多数手がけており、HRC45以上の難削材も得意としています。メンテナンス加工サービスでは、摩耗した送り駒の再加工や、別材種への置き換え検討もご相談いただけます。
納品前にはエアマイクロや内径測定器、三次元測定機を用いて全数または抜取検査を行い、内径公差・同芯度・面粗さの実測値を成績書にまとめてお渡ししています。HRC62級の高硬度材は再加工が困難なため、初回検査で寸法トレンドを把握しておくことが量産時の品質安定につながります。当社では検査データを工程フィードバックに活用し、ロット間ばらつきの抑制に努めています。
YXR7のような難加工材は、外注先を分散させると工程ごとに段取り変えと品質確認が必要になり、納期とコストの双方が膨らみがちです。当社では設計検討・材料手配・加工・熱処理連携・検査・梱包まで一貫対応するため、工程の隙間をなくしながら最短納期で納品できます。1個ものの試作から1,000個規模の量産まで柔軟に対応可能です。会社の沿革や品質方針は会社情報ページでご紹介しています。
YXR7や高硬度材の加工事例、精密機械向けの小物部品は製作実績アーカイブからご覧いただけます。
対応業界は自動車、航空機、産業機械、金型製造、搬送設備、精密機械など、高硬度・高耐摩耗が求められる分野を幅広くカバーしています。
A. SKH51・SKH9・SKD11・HAP40などの工具鋼にも対応しています。素材ごとに適切な工具と切削条件を選定するため、図面と一緒に材質指定をお知らせください。
A. 既存ワークの再加工や仕上げ追加工のみのご依頼も承ります。現物の硬度測定から行い、必要な仕上げ精度をヒアリングしてお見積りいたします。
A. 当社では工程能力指数Cpk1.33を目安に量産対応しています。公差設計時の余裕も含めご相談ください。
A. 1個ものが約20%、10個以下が約40%という少量多品種が得意分野です。試作1個から1,000個規模まで一貫して承ります。
YXR7をはじめとする高速度工具鋼、HRC60超の高硬度材加工、精密送り駒や搬送部品まで、図面1枚からでも、現物のお持ち込みからでもご相談を承ります。お見積り・技術相談はお問い合わせフォームまたは直通電話 0476-98-0519(平日 8:30–17:30)まで、お気軽にお寄せください。採用情報もあわせて公開中です。
図面1枚から、現物のお持込みからでも。お見積り・ご相談はお気軽にどうぞ。
自社内完結は当日〜数日、協力会社案件で1〜2週間程度を目安にご回答します。
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